介護業界の待遇改善について

介護業界では職員の待遇改善が思うように進まず、離職者が後を絶たないことが社会問題になっています。そのため、高齢化社会を迎えるにあたり、介護職員の確保は大きな問題だと言えます。そこで、介護職員を定着させるために、まずは給与の増額を行う必要性が出てきました。なぜなら、介護職員の収入は、全産業の平均年収と比べると、半額にも満たないほどの少額だからです。とはいえ、介護施設は利用者の定員に法的規制がかけられているので、事業所が勝手に利用者の定員を増やし、収益を上げることはできません。

また、要介護度が4以上の高齢者や障がい者を受け入れないと、なかなか介護報酬の増額は見込めないことも、介護施設の収益を上げる際のネックになっていると言われています。したがって、介護職員の給与面を改善しようとすると、公的支援に頼らざるを得ないのが実情です。

そこで、このような背景から、近年、介護職員処遇改善加算という制度が施行されるようになりました。この制度により、低額の給与で働く現場職員の給与のアップが見込めるようになりました。さらに、特定処遇改善加算という制度も2019年から導入され、勤務年数の長いベテラン職員の給与を全産業の平均年収に近づけるための試みが行われています。

こうした支援は介護職員の定着化に期待が持てますが、それだけでは介護職員の確保は難しいでしょう。このような制度と併せて、私は業務の軽減も必要だと思います。利用者の身体介護など、肉体労働の負担も介護職員の離職の原因になっています。ですから、給与面の待遇を改善することと同時に、法的整備により、超過勤務を改善していくことも望まれます。